日本経済の不安要素その4:日本経済にも不安要素がいっぱい?

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

今日も朝から曇りがちですが、いつもより
ちょっと涼しく、秋の気配を感じさせます。

さて、ARC通信では6月26日、7月6日、
7月21日と3回にわたり、「日本経済の
景気回復は本物か?」という視点から、
中国、欧州、米国のそれぞれの国の経済
状況に見られる不安要素について取り上げ
てきました。

今回はその最終回として、日本経済自体の
実情について、探ってみたいと思います。

さて、このシリーズを開始した6月末時点
では、わが国の第一四半期GDP成長率が、
年率2.4%増、3月期の東証上場企業の決算
が43兆円と過去を記録し、東証一部の
株式時価総額も史上最高となるなど、日本
経済は極めて順調に見えていました。

実際、6月24日の日経平均株価終値は、
前日比58円高の20,868円と、2000年の
ITバブル前の高値を上回る18年半ぶりの
高値を付け、翌25日の日経新聞では、日本
株には割高感はなく、下がりにくい状況が
続くと報じていました。

しかし、その後の世界経済の状況を見ると、
6月末のギリシャショックから始まり、
7月9日の上海株式市場の暴落、その後の
中国政府のなりふり構わぬ株価対策や通貨
の切り下げなど、大きな事件が相次いで
起こっています。

一方、日経平均では、6月24日の高値の後、
7月9日に上海市場の暴落を受け、一時は
19,115円の安値を記録したものの、その後
2万円台を回復し、上海市場の影響で株価
下落が続く各国の株式市場に比べると、
比較的堅調に推移していました。

政府の見方も強気で、8月14日の閣議に
提出された2015年度の経済財政白書は、
副題を「四半世紀ぶりの成果と再生する
日本経済」となっています。

白書の第1章のタイトルは「景気動向と好
循環の進展」で、「企業の収益改善が雇用の
増加や賃金上昇につながり、それが消費や
投資の増加に結び付く『経済の好循環』が
着実に回り始めている」と述べています。

しかしながら、この日本株の比較的堅調な
足取りや経済財政白書の見解も、実際の
日本経済状況を反映しているかといえば
全くそうではなく、日本経済の現状は、
実は崖っぷちなのかもしません。

いくつか論拠を挙げてみましょう。

内閣府が17日に発表した今年第2四半期
(4~6月期)のGDP成長率(1次速報値)
は、実質▲0.4%(年率▲1.6%)と
3四半期ぶりのマイナス成長となったとの
ことです。

内訳をみると、国内需要は▲0.1%、外需は
▲0.3%とともにマイナスで、特に民間最終
消費支出が▲0.8%と低迷していることと、
輸出が▲4.4%と大きな現象を示している
ことが、GDP全体でマイナス成長となった
大きな原因のようです。

民間消費支出の低迷については、消費税の
増税の影響という話がよく出ますが、今回
の▲0.8%は、消費税増税後の対前年比の
数字であるので、消費税増税の影響はない
はずです。

つまり、消費税増税から1年余り経っても
民間消費マインドは、一考に明るくなって
いないという現状を示しているのだと考え
られます。

消費マインドに直結する雇用者報酬でみて
も、この4~6月期は、名目では対前年比
0.2%増ですが、実質では▲0.2%とマイナ
スを示しています。

今年の春闘では、政府が率先して民間企業
の賃上げを促すという異例の行動を取り、
その結果として賃上げ率が顕著に引き上げ
られたと喧伝されましたが、実際には賃上
げを実施できたのは大企業だけで、雇用者
報酬全体ではマイナスだったわけです。

外需に目を転じても、中国景気の下振れで
輸出は▲4.4%と6四半期ぶりに減少し、
輸入も国内消費の縮小で2.6%減となり、
差し引きの外需のGDP寄与度は▲0.3%と
なっています。

また、近頃よく話題になる訪日外国人観光
客によるインバウンド消費は6.1%増えて
いますが、GDP寄与度は0.03%と、国内
の景気全体を押し上げるほどの力は、明ら
かにないようです。

注目すべきことは、こうしたGDPの数字
は、たまたま同時進行でおきている原油安
により、相当大きなゲタをはかせてもらっ
ている可能性が高いということです。

WTI原油先物価格は、昨年8月には、
1バレル当たり107ドル近い値段でしたが
現時点では41ドルと、約62%も下落して
います。

一方、円は、昨年8月には1ドル=102円
程度でしたが、黒田日銀と安倍内閣による
円安政策により、現時点では124円近辺と
約18%程度下落しています。

もし原油安がなければ、輸入総額は遥かに
大きくなっていたはずで、外需のマイナス
も、遥かに大きな数字となり、GDPのマイ
ナスも遥かに大きくなっていたはずなの
です。

ここにきて明らかなことは、消費税増税の
影響がなくなったはずの今年4月以降に
ついても、日本経済は、民間消費と外需が
ともにマイナスと景気低迷が続いているこ
とと、原油安がなければ日本経済は最悪の
状況になっていただろうということです。

つまり「経済の好循環が着実に回り始めて
いる」という経済財政白書の公式見解とは
全く異なる苦しい状況に、いま日本経済は
陥りつつあるのです。

今年4~6月期の実質GDPの値は、黒田日
銀による異次元金融緩和が始まった直後の
2013年の4~6月期のGDPの値とほぼ同じ
であり、経済成長政策としては、異次元
金融緩和もアベノミクスもほとんど成果が
上がっていないのです。

2014年現在の日本のドル換算の国民一人
当たりGDPの値は36,331ドル、世界27位
でしたが、これは10年前の36,444ドルと
ほぼ同じ数字で、そのときの順位は世界
16位でした。

2015年も2014年とほぼ同額のGDP490兆円
(名目)と仮定した場合、現在のドル
円レート(1ドル=124円)に換算し、8月1
日現在の日本の総人口推計値1億2689万
人でわると、1人当たりのGDPは31,142
ドルと計算されます。

これを、2014年のドル換算の国民一人
当たりGDPのランキングに当てはめると
29位となり、28位のイタリアに約4000
ドル劣り、30位のスペインよりわずかに
上で、31位の韓国(28,100ドル)にも
肉薄されているという状態です。

国の経済的な豊かさを表す指標には、いろ
いろあるでしょうが、ドル換算の国民一人
当たりGDPというのは、最もわかりやす
く客観的な指標です。

その指標で、経済破綻をうわさされている
スペイン並み、お隣の韓国にも抜かれそう
という状態を、皆さんはどう考えますか?

一部の輸出企業の利益に貢献しても、国民
一人当たりの豊かさを、これ以上毀損する
円安政策やアベノミクスは、明らかに、
国民を不幸にし、国を危うくする誤った
政策ではないでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。

田村 誠邦

■編集後記

今日のメルマガの記事の主要部分は、
昨晩書いたのですが、今朝の新聞報道を
みると、ニューヨークダウ平均株価が、
前日比358ドル04セント(2.1%)安の
1万6990ドル69セントと心理的節目の
1万7000ドルを下回ったようです。

2014年10月29日以来の安値であり、
下げ幅も2011年11月9日(389ドル安)
以来ほぼ3年9カ月ぶりの大きさだった
とのことです。

これを受けて、東京株式市場の日経平均
株価も、2万円の大台を割り、400円近い
下げ幅で推移しています。

中国経済をはじめとする、世界経済の
減速化がしだいに鮮明になりつつあり、
いよいよこの秋は、リーマンショック以来
の、世界同時不況に備えないといけないの
かもしれません。

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