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日本経済の不安要素その4:日本経済にも不安要素がいっぱい?

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

今日も朝から曇りがちですが、いつもより
ちょっと涼しく、秋の気配を感じさせます。

さて、ARC通信では6月26日、7月6日、
7月21日と3回にわたり、「日本経済の
景気回復は本物か?」という視点から、
中国、欧州、米国のそれぞれの国の経済
状況に見られる不安要素について取り上げ
てきました。

今回はその最終回として、日本経済自体の
実情について、探ってみたいと思います。

さて、このシリーズを開始した6月末時点
では、わが国の第一四半期GDP成長率が、
年率2.4%増、3月期の東証上場企業の決算
が43兆円と過去を記録し、東証一部の
株式時価総額も史上最高となるなど、日本
経済は極めて順調に見えていました。

実際、6月24日の日経平均株価終値は、
前日比58円高の20,868円と、2000年の
ITバブル前の高値を上回る18年半ぶりの
高値を付け、翌25日の日経新聞では、日本
株には割高感はなく、下がりにくい状況が
続くと報じていました。

しかし、その後の世界経済の状況を見ると、
6月末のギリシャショックから始まり、
7月9日の上海株式市場の暴落、その後の
中国政府のなりふり構わぬ株価対策や通貨
の切り下げなど、大きな事件が相次いで
起こっています。

一方、日経平均では、6月24日の高値の後、
7月9日に上海市場の暴落を受け、一時は
19,115円の安値を記録したものの、その後
2万円台を回復し、上海市場の影響で株価
下落が続く各国の株式市場に比べると、
比較的堅調に推移していました。

政府の見方も強気で、8月14日の閣議に
提出された2015年度の経済財政白書は、
副題を「四半世紀ぶりの成果と再生する
日本経済」となっています。

白書の第1章のタイトルは「景気動向と好
循環の進展」で、「企業の収益改善が雇用の
増加や賃金上昇につながり、それが消費や
投資の増加に結び付く『経済の好循環』が
着実に回り始めている」と述べています。

しかしながら、この日本株の比較的堅調な
足取りや経済財政白書の見解も、実際の
日本経済状況を反映しているかといえば
全くそうではなく、日本経済の現状は、
実は崖っぷちなのかもしません。

いくつか論拠を挙げてみましょう。

内閣府が17日に発表した今年第2四半期
(4~6月期)のGDP成長率(1次速報値)
は、実質▲0.4%(年率▲1.6%)と
3四半期ぶりのマイナス成長となったとの
ことです。

内訳をみると、国内需要は▲0.1%、外需は
▲0.3%とともにマイナスで、特に民間最終
消費支出が▲0.8%と低迷していることと、
輸出が▲4.4%と大きな現象を示している
ことが、GDP全体でマイナス成長となった
大きな原因のようです。

民間消費支出の低迷については、消費税の
増税の影響という話がよく出ますが、今回
の▲0.8%は、消費税増税後の対前年比の
数字であるので、消費税増税の影響はない
はずです。

つまり、消費税増税から1年余り経っても
民間消費マインドは、一考に明るくなって
いないという現状を示しているのだと考え
られます。

消費マインドに直結する雇用者報酬でみて
も、この4~6月期は、名目では対前年比
0.2%増ですが、実質では▲0.2%とマイナ
スを示しています。

今年の春闘では、政府が率先して民間企業
の賃上げを促すという異例の行動を取り、
その結果として賃上げ率が顕著に引き上げ
られたと喧伝されましたが、実際には賃上
げを実施できたのは大企業だけで、雇用者
報酬全体ではマイナスだったわけです。

外需に目を転じても、中国景気の下振れで
輸出は▲4.4%と6四半期ぶりに減少し、
輸入も国内消費の縮小で2.6%減となり、
差し引きの外需のGDP寄与度は▲0.3%と
なっています。

また、近頃よく話題になる訪日外国人観光
客によるインバウンド消費は6.1%増えて
いますが、GDP寄与度は0.03%と、国内
の景気全体を押し上げるほどの力は、明ら
かにないようです。

注目すべきことは、こうしたGDPの数字
は、たまたま同時進行でおきている原油安
により、相当大きなゲタをはかせてもらっ
ている可能性が高いということです。

WTI原油先物価格は、昨年8月には、
1バレル当たり107ドル近い値段でしたが
現時点では41ドルと、約62%も下落して
います。

一方、円は、昨年8月には1ドル=102円
程度でしたが、黒田日銀と安倍内閣による
円安政策により、現時点では124円近辺と
約18%程度下落しています。

もし原油安がなければ、輸入総額は遥かに
大きくなっていたはずで、外需のマイナス
も、遥かに大きな数字となり、GDPのマイ
ナスも遥かに大きくなっていたはずなの
です。

ここにきて明らかなことは、消費税増税の
影響がなくなったはずの今年4月以降に
ついても、日本経済は、民間消費と外需が
ともにマイナスと景気低迷が続いているこ
とと、原油安がなければ日本経済は最悪の
状況になっていただろうということです。

つまり「経済の好循環が着実に回り始めて
いる」という経済財政白書の公式見解とは
全く異なる苦しい状況に、いま日本経済は
陥りつつあるのです。

今年4~6月期の実質GDPの値は、黒田日
銀による異次元金融緩和が始まった直後の
2013年の4~6月期のGDPの値とほぼ同じ
であり、経済成長政策としては、異次元
金融緩和もアベノミクスもほとんど成果が
上がっていないのです。

2014年現在の日本のドル換算の国民一人
当たりGDPの値は36,331ドル、世界27位
でしたが、これは10年前の36,444ドルと
ほぼ同じ数字で、そのときの順位は世界
16位でした。

2015年も2014年とほぼ同額のGDP490兆円
(名目)と仮定した場合、現在のドル
円レート(1ドル=124円)に換算し、8月1
日現在の日本の総人口推計値1億2689万
人でわると、1人当たりのGDPは31,142
ドルと計算されます。

これを、2014年のドル換算の国民一人
当たりGDPのランキングに当てはめると
29位となり、28位のイタリアに約4000
ドル劣り、30位のスペインよりわずかに
上で、31位の韓国(28,100ドル)にも
肉薄されているという状態です。

国の経済的な豊かさを表す指標には、いろ
いろあるでしょうが、ドル換算の国民一人
当たりGDPというのは、最もわかりやす
く客観的な指標です。

その指標で、経済破綻をうわさされている
スペイン並み、お隣の韓国にも抜かれそう
という状態を、皆さんはどう考えますか?

一部の輸出企業の利益に貢献しても、国民
一人当たりの豊かさを、これ以上毀損する
円安政策やアベノミクスは、明らかに、
国民を不幸にし、国を危うくする誤った
政策ではないでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとう
ございました。

田村 誠邦

■編集後記

今日のメルマガの記事の主要部分は、
昨晩書いたのですが、今朝の新聞報道を
みると、ニューヨークダウ平均株価が、
前日比358ドル04セント(2.1%)安の
1万6990ドル69セントと心理的節目の
1万7000ドルを下回ったようです。

2014年10月29日以来の安値であり、
下げ幅も2011年11月9日(389ドル安)
以来ほぼ3年9カ月ぶりの大きさだった
とのことです。

これを受けて、東京株式市場の日経平均
株価も、2万円の大台を割り、400円近い
下げ幅で推移しています。

中国経済をはじめとする、世界経済の
減速化がしだいに鮮明になりつつあり、
いよいよこの秋は、リーマンショック以来
の、世界同時不況に備えないといけないの
かもしれません。

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新国立競技場問題にみる責任不在という日本病その2

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

相変わらず、連日35度を超えるような
猛暑が続いていますが、お盆休暇までもう
一息、元気に夏を乗り切りたいですね。

さて今日も一昨日に続いて、新国立競技場
建設問題を取り上げてみたいと思います。

今回の新国立競技場建設をめぐる一連の
ゴタゴタについては、すでに様々な報道や
議論がされていますので、読者の皆さんも
その概要はご存知だと思います。

しかし、誰に責任があったかという責任論
から離れて、何が一番問題だったかといえ
ば、それは、「新国立競技場基本構想国際
デザイン競技募集要項」に、この混乱の
原因の大半があったと考えられます。

その理由は次の3点です。

1.ザハ案で問題視された競技場の規模
(高さやボリューム、延べ面積等)につい
ては、募集要項の記載内容が既に過大で
あったこと。

2.新国立競技場を国民が納得する形で
実現する手続きが、募集要項にはまったく
考慮されていなかったこと。

3.新国立競技場の事業としての成立条件
について、ほとんど考慮されていなかった
こと。

まず、1点目の競技場の規模に関する募集
要項の記載について検証してみましょう。

高さとボリュームについては、募集要項に
図2施設配置条件図という図面があり、
高さ70mの範囲ならば巨大なボリューム
の施設が建てられるように記載してあり
ます。

しかし、応募時のザハ案は高さ80mで、
募集要項の条件を10m超える案であった
とのことで(2014年7月14日東京新聞
朝刊)、ザハ案は要領違反だった可能性も
あります。

面積については、2012年のロンドンオリ
ンピックメインスタジアム(108,500㎡、
8万人収容、約900億円)に比べると、
新国立競技場の募集要項の29万㎡という
数字がいかに巨大かがわかります。

収容人員が同じロンドンに比べて3倍近
い面積となった最大の理由は、発注者で
あるJSCが、参加の競技団体や政治家等
からの要望を事業性の検証なしに足し合わ
せていったためと考えられます。

具体的には、競技等機能32,000㎡、競技
等関連機能15,000㎡、観覧機能111,000㎡
等は、まだ競技場本来の機能ですから、
何とか納得できるものです。

しかし、それ以外に、VIP等のための
ホスピタリティ機能25,000㎡、スポーツ
関連商業等のスポーツ振興機能21,000㎡
管理本部や会議室などの維持管理機能
35,000㎡といった数字を見ると、なんと
大盤振るまいな計画かとあきれ果てます。

ですから、当初29万㎡の延べ面積が、
2013年11月26日の第4回国立競技場将来
構想有識者会議で、約22.5万㎡に規模縮
小されたのは、もともとの数字が膨れ上
がっていたので、たいした話ではないと
思っていました。

ところが、その縮小案の中身を見ると、
また驚きが倍増しました。

競技場32,000㎡は26,180㎡、に、競技
等関連機能15,000㎡は8,410㎡に、観覧
機能111,000㎡は85,170㎡に大幅に削ら
れているかかわらず、JSC関連の諸室の
面積はそれほど削られていないのです。

たとえばVIP等のためのホスピタリティ
機能は25,000㎡は20,420㎡に、スポー
ツ関連商業等のスポーツ振興機能21,000
㎡は15,050㎡に、管理本部や会議室など
の維持管理機能35,000㎡は25,070㎡に
といった具合です。

実はコスト削減のための規模縮小案でも
JSC関連団体等の要望(利権?)は残
し、本来主役となる競技者や観客のための
施設面積を中心に規模縮小が図られたと
いうのが実態のようです。

次に、2点目の新国立競技場の実現手続き
についてですが、これについては都市計画
の変更手続きに、大きな疑問が残ります。

時系列を追ってみてみましょう。

コンペの募集要項が発表されたのが、
2012年7月20日で、この時点の計画地は
第二種高度地区であり、高さ制限は20m
だったわけです。

その後、東京都の都市計画審議会で、神宮
外苑地区地区計画64.3ha及び再開発等促
進区50.7haが決定され、県画地の建築物
の高さの最高限度が75mに緩和されたの
です。

この都市計画変更の原案の公告・縦覧が
行われたのは、2013年1月21日から
2月4日にかけてとのことで、その後
2013年5月に東京都都市計画審議会で
原案通りに承認、6月に都知事が都市計画
決定をしたわけです。

つまり、国際公約に等しいコンペの募集要
項の高さ制限等の条件が、募集要項発表時
には建築基準法・都市計画法に違反する
数字であり、その後の都市計画変更手続き
で事後的に合法化されたというわけです。

これだけとっても、今回の「新国立競技場
基本構想国際デザイン競技募集要領」が、
以下にデタラメで、法規範や常識を逸脱し
ていたかがわかります。

どこか、現内閣の安保法制の強硬姿勢と
共通しているとは思いませんか?

神宮の森という重要な立地に計画される
施設が、どのような規模であるべきかと
いうことについては、本来ならコンペ実施
前に議論されるべきことであり、都市計画
の変更もそうした議論に沿って事前に行わ
れるべきだったのではないでしょうか?

新国立競技場の実現手続きについては、
もう一点あります。

それは、新国立競技場建設計画において、
当初からコスト問題が懸念されていたにも
かかわらず、発注主体であるJSCが全く
その重要性を認識していなかったように
思えることです。

コンペ実施時の予算約1300億円の根拠が
良くわからないこともありますが、施設の
建設については素人の集まりであるJSC
が、発注者支援業務を、山下設計・山下
ピー・エム・コンサルタンツ他JVに発注
したのが2013年8月22日です。

つまり、ザハ案の当選決定時(2012年11
月15日)から9ヶ月以上たって、ようや
く発注者支援業務を外注しているのです。

プロジェクトマネジメントやコンストラク
ションマネジメントといった発注者支援業
務を専門家に頼むのであれば、本来はコン
ペの実施前の募集要項作成時点で頼むべき
であり、案が決まってからでは効果が半減
どころか数分の1程度になります。

今回の発注者支援業務受託者の働きについ
ては疑問な点は相当ありますが、何よりも
JSCが大規模施設の建設プロジェクトに
ついて全く無知だったという事実が、今回
の迷走の大きな原因といえるでしょう。

最後に、3点目の新国立競技場の事業とし
ての成立条件についてですが、これは発注
者側で最初に検証しておくべき事項で、
事業の成立条件を踏まえたコンペの募集
要領を作成するのは、世の中の常識です。

ところが、JSCの作成した募集要領は、
上記の通り、関連団体等の要望を足し合わ
せて作ったようなものであり、きちんとし
た事業収支の裏づけは、全くなかったと
思われます。

一般に事業収支計画は、当初投資額を適正
に見積もり、完成後の収入項目と支出項目
を確実な範囲で設定することによって可能
となりますが、今回の新国立競技場建設計
画においては、すべての点で甘々だったと
思われます。

建設費をはじめとする初期投資については
前回のメルマガで述べましたので、収入項
目と支出項目について検証してみましょ
う。

2015年7月7日の国立競技場将来構想有
識者会議で示された完成後の収支見込では
年間の収入が40.81億円、支出が40.43億円
で、差し引き3800万円の黒字となっていま
す。

このうち、収入の主力を占めるのは、プレ
ミアム会員事業19.33億円と、ビジネス
パートナーシップ事業12.9億円ですが、
この中身が唖然とする内容です。

プレミアム会員事業では、年540万円の
ボックス席が76室、15万円の会員シート
が3412席、10万円が739席、9万円が
1455席、6万円が1386席といった具合
で、そのバブリーさはあきれるばかりで
誰がこんな大金を出すのでしょうか?

ビジネスパートナーシップ事業も、年間
1.5億円のゴールドが3社、0.72億円の
シルバーが5社、0.48億円のパートナー
が10社だそうですが、たまにしかテレビ
放映されない競技場のパートナーシップに
どこが手を上げるのでしょうか?

支出については、将来の大規模改修費用が
収支計画に含まれていないという根本的な
欠陥があります。

第188回国会の安倍首相の答弁によると、
50年間分の修繕費が、約319億円、大規模
改修費が約656億円と試算しているようで
すが、このお金はどうやって捻出するので
しょうか?

いずれにせよ、新国立競技場建設について
は白紙撤回されたわけですから、今度こそ
国民の納得する形で、議論が進んでいくこ
とを期待したいと思います。

長文駄文、最後までお読みいただき
ありがとうございました。

田村 誠邦

■編集後記

今回の新国立競技場問題は、調べれば調べ
るほど不可解な話が続々と出てきて、
思っていたよりもはるかに長い文章に
なってしまいました。

夏の暑い時期に、暑苦しい文章を書いて
しまいました。

次回はもっと爽やかな話題を取り上げたい
と思っていますので、どうぞよろしく、
お願いいたします。

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新国立競技場問題にみる責任不在という日本病その1

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

8月に入り、連日35度を超えるような猛暑
日が続いています。

昨日も、ある用事で埼玉県のある街に出か
けたのですが、わずか10分ほど歩くだけで
汗が噴き出して、頭がくらくらするような
暑さでした。

さて、やや旧聞に属しますが、去る7月17
日に、もめにもめていた新国立競技場の建
設問題が、安倍首相の「決断」により白紙
撤回されました。

2012年11月15日のザハ・ハディッドの最優
秀案決定から2年8か月、2013年8月15日に
槇文彦氏がJIA MAGAZINE295号に発表した
建設白紙見直しの提言から1年11カ月後の
白紙撤回の決断でしたが、あまりにも遅き
に失した感がします。

17日の会見で、安倍首相は約1か月前から
見直しの検討に入った」と述べていますが、
実態は、安保法制で支持率が急低下した
安倍首相が、新国立競技場問題でさらなる
失政を糾弾されることを恐れての決断と
思われます。

その証拠に、その約3週間前の6月23日に
競技場建設の事業主体である日本スポーツ
振興センター(JSC)はザハ・ハディド
氏の事務所に、新たに「新国立競技場の施
工段階におけるデザイン監修業務」1億7
千万円を発注しています。

JSCがザハ事務所と既に交わした契約は、
上記のほか「フレームワーク設計に関する
デザイン監修業務」、「基本設計に関する
デザイン監修業務」、「実施設計に関する
デザイン監修業務」の3本あり、今年4月
までに合計13億円が支払われています。

これだけの大金が支払われているからこそ
ザハ案の白紙撤回でも、ザハの事務所から
訴訟で訴えられる可能性は低いということ
なのでしょう。

このほか、日建設計・梓設計等への各種設
計業務、山下設計・山下ピー・エム・コン
サルタンツ等への発注支援業務、大成建設
竹中工務店等への技術協力業務など、ザハ
事務所への発注をあわせ、合計59億円も
の金額がすでに支払済みだそうです。

この金額は、オリンピックなどでの活躍が
期待される一流選手への強化費の3年分に
当るそうですから、JSCはなんという無
駄遣いをしてしまったのでしょうか。

しかもこのお金は、もとをただせば我々
国民の払った税金をもとにしているのです
から、我々国民はもっとこの問題について
怒るべきなのです。

そして、JSCは自分で稼いだお金でなく
国からあてがわれた予算で、この事業を
行おうとしていたというところに、今回の
新国立競技場建設問題の根っこがあるよう
に思えます。

私自身は、ザハの事務所を含めて、上記に
名前を挙げた企業に、今回の新国立競技場
建設問題についての中核的な責任があると
は思っていません。

ただし、発注者支援業務を受託した山下設
計・山下ピー・エム・コンサルタンツ他JV
には、明確なコストと技術的実現可能性に
ついての的確なアドバイスを発注者である
JSCに示すという業務をなし得ていたの
かどうか、大きな疑問が残ります。

今回の新国立競技場建設問題は、ザハの斬
新なデザイン案が、膨大な予算超過を招い
た元凶のように言われることが多いのです
が、私自身は、問題の所在は明らかに発注
者側であるJSCや文部科学省、そしてコ
ンペの要綱や審査体制にあったと思います。

建設費については、2012年7月20日に発表
された、新国立競技場国際デザイン・コン
クール募集要項では、約1300億円という数
字がデザイン提案の目安として提示されて
いました。

それが、2013年10月19日に、下村博文五輪
担当相が、ザハの当選案をもとに試算した
結果として、約3000億円になることを発表
しました。

その結果を受けてJSCは案のコンパクト
化(約29万㎡を約22万㎡に)を図ることを
決定し、2014年5月28日に、基本設計案と
して約1625億円(2013年7月時点の単価、
消費税5%で試算)を発表しました。

ところが、2015年7月7日に示された設計
概要案では、可動席の簡素化、空調設備の
一部見直し、ペデストリアンデッキの縮小
等の案全体の縮小化を図っているにもかか
わらず、目標工事費が2520億円に膨らんで
しまったのです。

その理由としては、消費税増40億円程度、
建設資材や労務費の高騰(25%程度)350
億円程度、新国立競技場の特殊性(屋根鉄
骨、スタンド鉄骨、内外装、大量の建設発
生土)765億円程度だというのです。

コンペ時1300億円が、ザハ案の採用が決
まって約3000億円、これを規模縮小して
1625億円、これをさらに見直しを図ると
2520億円とは、民間工事ではありえない
迷走であり、これで建設を強行していたら
世紀の笑いものになっていたと思います。

こうした迷走の最大の原因は、発注主体で
あるJSCの発注者としての自覚のなさに
あることは明らかですが、同時に監督官庁
としての文部科学省、国を含めた無責任
体制に最大の問題があると思います。

これは、いわば日本病ともいえる構造的な
病いであり、東日本大震災後の被災地復興
での公共事業の膨大な無駄遣い(住民の意
向を無視した防潮堤や、需要を無視した
膨大な土地区画整理事業等)にも共通する
大きな問題だと思います。

つまり、オリンピックという国を挙げての
イベントや、震災復興という大義名分が
あれば、それによる将来に渡るコスト負担
や環境への影響などを一切考えずに突き進
む無責任体制が許される土壌が、わが国に
根深く存在しているということです。

ただ、今回の新国立競技場建設問題につい
ては、槇文彦氏の問題提起の後の世論の
盛り上がりによって、なんとか国の暴走に
歯止めをかけることができたという意味で
大変意義深い出来事だと思います。

この問題については、まだ書き足りない
ことがあるので、次回も取り上げたいと
思います。

田村誠邦

■編集後記

昨日の男子サッカー東アジア杯、ご覧に
なったでしょうか?

1-2と北朝鮮に逆転された日本代表で
したが、観ていて、こんなに歯がゆくて、
腹立たしい思いをした試合も少なかった
ように思えます。

身長2m違いFWの選手が後半に出てき
ただけで、簡単に2失点してしまうとは、
先日のW杯一次予選のシンガポール戦の
引き分けといい、ファンにとってはイラ
イラが募る試合が続きます。

あと2試合の東アジア杯ですが、日本代
表には、猛暑を吹き飛ばすほどの気概を
見せてもらいたものです。

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日本経済の不安要素その3:米国経済の好調さは本物か?

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

梅雨も明け、一気に夏本番の陽気になって
きました。

さて、6月19日のメルマガで「景気回復は
本物か?」というテーマを取り上げてから
1か月余りが経ちましたが、その間に世の
中の雰囲気は、すっかり変わってしまった
ようです。

1か月前には第一四半期GDP成長率が年率
2.4%増と事前予測より好調で、3月期の
東証上場企業の決算が、43兆円と過去最高
を記録し、東証一部の株式時価総額も史上
最高となるなど、日本経済を取り巻く環境
は、極めて順調に見えていました。

海外に目を転じても、ギリシャ問題の懸念
はあったものの、中国経済については6月
12日に上海総合指数が今年最高値を付ける
など、まだ大きな問題は発覚していなかっ
たのです。

しかし、その後の経緯は皆さんもご存知の
通りで、上海市場はわずか3週間に30%以
上の下落を示し、ギリシャの国民投票の結
果、EUの財政再建策をギリシャ国民が拒否
するなど、世界経済は大混乱に陥いること
になりました。

こうした情勢を受けて日本国内でも、中国
バブルの崩壊や欧州金融危機を憂慮する報
道や記事が多くなり、6月中旬までの景気
回復感は一気に吹き飛んだ状況です。

また、アベノミクスによる株価の上昇と経
済回復への期待で高い支持率を誇っていた
安倍政権も、安全保障関連法案の強行採決
などで、その支持率にもかげりがみられる
ようになりました。

その後、中国市場については、中国政府の
なりふり構わぬ市場介入の効果もあって、
4000の大台を回復するところまで回復し、
ギリシャ問題についても、チプラス首相が
EUの提案を受け入れたことから、欧州金融
市場も落ち着きつつあるようです。

しかし、中国にしろ、欧州にしろ、金融危
機を招きかねない根本原因(中国について
は過剰生産設備、地方政府や国有企業の不
良債権問題、経済成長率の低下、欧州につ
いては域内の経済格差問題、銀行等の不良
債権問題等)は解決していません。

特に中国市場については、株価の推移が、
1929年の世界大恐慌や、2008年のリーマン
ショック時と似ていると言われており、今
週いっぱいに戻りのピークを付けてから、
8月いっぱいまでに、さらなる大暴落を記
録する恐れが強いように思えます。

さてこうした中で、唯一好調に見えるのが
米国経済で、先週末の17日にはナスダック
総合株価指数が新高値を付けています。

さまざまな問題を抱える欧州やアジアに比
べ、米国経済が好調なのは確かだと思いま
すが、実は米国経済にも、いくつかの懸念
材料があるようにも思えます。

第一の不安要因は米連邦準備理事会FRB
が主導してきた量的緩和の出口についてで
す。

FRBは、リーマンショックからの経済回
復の手段として、2008年11月から3段階に
わたり、計400兆円近い量的緩和政策を実行
し、米国債やMBSの買入を通じて市場に
資金を供給し続けてきました。

FRBは、昨年10月に量的緩和政策の縮小
を決定し、新たな証券購入の規模を縮小す
るとともに、米経済状況とその見通しが安
定した段階で利上げに踏み切るなどとした
出口戦略の大原則も公表しました。

量的緩和政策は、リーマンショック後の緊
急避難的な政策としてスタートしましたが
その後、日本や欧州も同様の政策を実施す
ることとなり、実は現在の世界経済の成長
や安定、株価の上昇傾向は、この量的緩和
政策によるところが大きいのです。

問題は、この量的緩和政策は、FRB等の
中央銀行が、国債などの債券や証券を買い
上げて資金を市場に供給していく施策です
から、いつまでも続けていくことは不可能
で、必ず出口が必要なことです。

量的緩和政策の出口は、一つには、国債の
買入を通した実質ゼロ金利が終わることを
意味し、もう一つには準備預金残高を正常
な水準に戻すということを意味します。

実質ゼロ金利の終焉は、企業の調達金利の
上昇を意味し、実体経済にはマイナスの影
響があるだけでなく、前回のメルマガに書
いたように、国債価格等の急落を招き、デ
リバティブ取引等を行っていた金融機関等
の経営不安を招く可能性もあります。

また、準備預金残高の正常化というのは、
金融機関が中央銀行に預ける当座預金残高
を、法定準備金のレベルまで戻すというこ
とです。

しかし、現在のFRBの準備預金残高は、
法定準備金の20倍を超える規模であり、市
場からの資金回収は、経済縮小を招きかね
ないと言われています。

実はこの量的緩和政策からの出口問題は、
米国だけでなく、日本も欧州も、全く同じ
問題を抱えているのです。

再び米国経済の不安材料に話を戻すと、第
二の懸念は、現在の米国の株式市場の好調
さが、実体経済を反映したものではないの
ではないかという疑念があることです。

米国の株式市場は、リーマンショック後の
底値から、6年以上も上昇傾向を続けてい
ますが、最近目立つのは、自社株買いの拡
大です。

米国の調査会社ビリニー・アソシエーツに
よると、米国企業がこの4月に発表した
新たな自社株買い枠は1410億ドル(約16兆
9000億円)と2014年4月に比べて121%増加
し、単月の記録を塗り替えたそうです。

このペースで行けば今年発表される自社株
買いは1兆2000億ドルに達し、2007年に記
録した過去最高の8630億ドルを大幅に更新
する見込みとのことです。

米国企業は金融危機後に、量的緩和の効果
もあって、多額の現金を蓄え、その多くを
自社株買いなどの株主還元に充てています。

そうした活動により株式数が減少すること
によって株価が支えられ、6年間にわたる
相場上昇に大きく貢献したと考えられます。

しかし、本来は、企業は事業によって稼い
だ資金を、次の事業展開のために投資し、
さらなる発展を遂げていくものです。

そうした事業のための投資よりも、株主
還元のための自社株買いなどを優先すると
いうのは、何か本末転倒のような気がしま
す。

実はこうした自社株買いは、企業の経営者
にとって、株式の上昇が最大の関心事であ
るために実行されていると言われています。

それは、株主の評価という面もありますが、
もう一つには、ストックオプションなどの
仕組みを通して、企業経営者自身の報酬が
株価に連動する仕組みが作られていること
によるものと考えられるのです。

したがって、現在の米国の株高が、企業の
業績そのものよりも、ストックオプション
などの株主還元策に支えられた見せかけの
株高である可能性は相当高いのです。

また実体経済と株価の推移を見てもリーマ
ンショック後の米国株式市場の好調さは、
何か不自然なものを感じます。

2009年3月から今年4月までの6年余りの
間のニュヨークダウの年率平均上昇率は
17.9%と極めて高いものがありますが、
その間のGDP実質成長率はわずか2.22%
にしか過ぎません。

米国でも、実体経済の成長率と株式市場の
上昇率との相関関係は、きわめて弱くなっ
ており、株式市場の上昇は、株式を大量に
保有する富裕層や経営者層の資産の増加を
もたし、経済格差の拡大をもたらすだけと
なっているようです。

また、実体経済の状況を表す貨幣の流通速
度が大幅に低下し、世界貿易の荷動きの活
発さを表すバルチックドライ海運指数が、
この30年間の最低値を記録するなど、米国
を中心とする世界経済の減速は、さまざま
な統計指数からかなり明白です。

実体経済を反映しない株高=バブルは、い
ずれ弾けて解消されるのが、歴史の証明す
るところです。

上海市場の動向にもよりますが、米国の株
高もこの秋には弾けてしまい、世界的な金
融恐慌になる可能性も、3割から5割程度
はありそうな気がします。

田村 誠邦

■編集後記

梅雨明けとともに、一気に夏本番となり、
昼間は外出したくない気温となっています。

冷夏よりは、暑い夏の方が夏らしくていい
と思いますが、それにしても、連日35度を
超えるような暑さはたまりません。

ちょっと前まで、早く梅雨が明けないかと
真夏の到来を待っていたのに、いざ夏本番
となると、この暑さはどうにかならないか
と思うのですから、人間というのはわがま
まな生き物のようですね。

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日本経済の不安要素その2:ギリシャだけでない欧州の火種?

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

梅雨も後半に入り、梅雨前線の動きが
活発化しているのか、今日も朝から雨が
降り続き、気温も肌寒いくらいです。

さて、前回の6月26日のメルマガで中国
株バブルの崩壊の不安いついて取り上げた
のですが、その時点では、次はギリシャ
危機について取り上げる予定でした。

ところが、実体経済の動きの方が、はるか
に早かったようです。

ギリシャのチプラス政権がEUの提案した
財政再建策について拒否の姿勢を示し、
7月5日の国民投票に財政再建策受入れの
是非を問うことを決めたことを受け、先週
の金融市場は大荒れの展開となりました。

ギリシャは、6月30日が期限だったIMF
への16億ユーロなどの借入金の返済が
できず、事実上のデフォルト状態に陥って
おり、7月5日の国民投票の結果次第では、
ギリシャのユーロ圏からの離脱の可能性も
現実味を帯びてきているのです。

こうした情勢を受けて、前回のメルマガで
取り上げた上海市場をはじめとする中国の
株式市場は、一段と下落幅を広げ、先週の
上海総合指数の終値は3,686.92と、6月12
日の直近のピークからわずか3週間で32%
もの下落を記録しています。

こうした暴落ともいえる事態を受け、中国
政府も、政策金利の引き下げに加え、信用
取引規制の緩和や取引手数料の引き下げ等
の株価対策を実施しましたが、その効果は
上がっていないようです。

このため、昨日の日経新聞報道によると、
中国の証券当局である証券監督管理委員会
は7月4日に、大手証券21社に対して、
上場投資信託への総額1200億元(約2兆
4千億円)の投資を週明けすぐに実行に
移すよう求めたそうです。

また、投資ファンド業界に対して株式市場
への集中投資を促したり、新規株式の公開
を制限し、市場の需給を一気に改善を狙う
など、まさになりふり構わぬ株価維持政策
を実行しようとしているようです。

週明けの市場で株価の下落に、何としても
歯止めをかけたい中国政府の意向を強く
映した措置ですが、巨大化した中国市場で
2兆円程度の買入がどれほどの効果がある
のか、やや疑問と思われます。

以前にもお伝えしましたが、そもそも長い
金融の歴史の中で、バブルの崩壊を政府が
止めることに成功したという事例は、いま
だかつて一度もないからです。

もっとも、上海株の値下がりはあまりにも
急でしたから、そろそろ反転してもおかし
くない時期になっており、ひょっとすると
あの暴落は何だったのだろうかと思うほど
暴騰をする可能性も十分にあります。

しかし、こうした暴騰があったとしても、
それは本来の中国経済の状況とは全く無縁
のバブルに過ぎませんから、その後のさら
に大きな「バブル崩壊=株価暴落」の序章
に過ぎないのではないかと思われます。

さて欧州に目を転じると、今朝のニュース
では、ギリシャの国民投票の結果、EUが
求める財政緊縮策受け入れに対する反対票
が6割を超え、チプラス首相が勝利宣言
をしたそうです。

今後ギリシャは、EUやIMFなどの債権
団と支援継続の協議にのぞむ考えですが、
ギリシャ国内の銀行の手元資金も数日で底
をつくとも言われています。

EUやIMFなどの債権団との協議が、
直ちに打ち切られることはないにせよ、
欧州中央銀行が保有するギリシャ国債35
億ユーロが償還期限を迎える今月20日を
無事乗り切れるかどうか、かなり緊迫した
状況が続きそうです。

また、現在はギリシャ危機ばかりが注目を
集めていますが、欧州経済の火種は、ギリ
シャ危機だけではないものと思われます。

その一つが、欧州各国の国債の金利の動き
です。

たとえば、ドイツ国債(10年債)の金利
は、4月16日には史上最低水準である
0.057%を記録してから、2か月弱日後の
6月10日には0.981%へと、17倍にも
急上昇(価格は急低下)しています。

国債金利の高騰は、ドイツだけの問題では
ありません。

スペインでは3月11日に1.081%だった
10年国債の金利が、6月15日には2.41%
と2倍以上に急騰し、フランスでは4月
16日に0.352%だったのが、6月10には
1.313%と、3.7倍にも急騰しています。

国債の取引では、手持ち資金の数倍もの
レバレッジをかけるのが普通なで、金利が
急上昇すると、金利にレバレッジの倍率を
乗じた巨大な損失が発生することになる
そうです。

こうした欧州各国の国債金利の急騰で、
大手金融機関やヘッジファンド等が破綻
する事態がいつ起こっても何ら不思議では
なく、ユーロ圏の金融情勢は、ますます
悪化する可能性が高いと考えらます。

たとえば、米格付け会社スタンダード・
アンド・プアーズ(S&P)は、6月9日
に、ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行の
格付けを、「A」から「BBB+」に2段
階引き下げています。

この格付けは、リーマンブラザーズが
破たんする3か月前に引き下げられた時
の格付けより低く、世界を代表する大手
銀行の格付けとしては異例の低さです。

ドイツ銀行は今年3月の銀行業界による
ストレステストにも合格せず、昨年に続き
資本増強を迫られており、この6月上旬
には、2名の共同代表CEOが退社する
ことを発表しています。

ドイツ最大の金融機関であるドイツ銀行内
で、何か異変が起きていることをうかがわ
せる事実ですが、一説によるとドイツ銀行
が抱えるデリバティブの想定元本は、ユー
ロ圏全体のGDP9.6兆円の3.5倍以上とも
言われています。

この巨大なデリバティブ想定元本が、
ユーロ圏の金利高騰による国債価格急落の
影響を受けているとすれば、想像もつかい
ほどの損失が生じている可能性すらあるの
です。

このように、ユーロ圏の最優等生と言われ
ているドイツですら、国債金利の急騰
(国債価格の暴落)や金融機関破たんの
可能性といった火種を抱えているのです。

このように、仮に今回のギリシャ危機を
一旦乗り切ったとしても、欧州の金融情勢
については、国債金利急騰による金融機関
の経営不安など、まだまだ油断がならない
状況が続くものと考えられます。

最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。

田村誠邦

■編集後記

今朝8時から始まった、サッカーの女子
ワールドカップ(W杯)カナダ大会決勝
の試合、楽しみにしていた方も多かったの
ではないでしょうか?

しかし、悲願の連覇を狙った、なでしこ
ジャパンの挑戦は、米国に2-5の大差で
の敗戦という、大変残念な結果に終わって
しまいました。

前半わずか16分間に4点のビハインドを
背負うという展開は、まったく予想できな
かったものですが、それでも準決勝までの
6試合でわずか1失点という米国から、
2点をもぎ取った健闘はすばらしかったと
思います。

何よりも、W杯開幕前からの苦戦の予想
を覆して、1点差の勝利を積み重ねて、
W杯、オリンピックとあわせて3大会連
続で決勝戦まで進んだ精神力は、十分に
賞賛に値するものだと思います。

大敗のショックは大きいでしょうが、
なでしこジャパンのメンバーには、ぜひ
胸を張って帰国してもらい、この経験を
次の挑戦に繋げていってもらいたいと
思います。

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日本経済の不安要素その1:中国株バブルは崩壊寸前?

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

作日は晴れ間が広がって、梅雨の中休み
でしたが、今日は朝から曇り空、昼からは
雨の予報です。

さて、一昨日24日の日経平均株価終値は、
前日比58円高の20,868円と、2000年の
ITバブル前の高値を上回り、18年半ぶり
の水準まで上昇しました。

昨日の日経新聞の記事によれば、円安や
企業統治の改革で成長根の期待を高めた
日本企業を評価し、南欧やアジアから新た
な投資マネーが流れ込み、さらにギリシャ
債務問題の前進を受けての安心感で、海外
から幅広い注文が入ったとのことです。

日経新聞の解説では、市場での高値警戒感
はあるものの、企業業績に対する株価水準
を示す予想株価収益率PERは、米国等と
同水準で割高感はなく、日銀や年金基金等
の公的マネーの買い支えもあり、日本株は
下がりにくい状況が続くとのことです。

しかし、この一見好調に見える株価も日本
経済も、実はきわめて不安定な基盤に寄り
かかっており、いつ大きなクラッシュが
あっても不思議はないのではないかと、
私には思えます。

その第一の不安要素は、中国の株バブルの
崩壊であり、いま海外投資家の間で、一番
の懸念材料と言われています。

2015年に入ってから直近のピークの6月
12日の5,410まで、上海総合株価指数は
約60%値上がりし、深センの創業板指数に
至っては約2.5倍の値上がりを記録して
います。

株価は通常は、実体経済の好調さという
裏付けがあって上がるものですが、中国
経済については、昨年来の経済成長率の
低下が、今年になって一段と悪化しつつ
ある中での株価の高騰なので、明らかな
バブルではないかと言われています。

上海総合指数は、リーマンショック前の
2007年10月に6124の最高値を付けて
から暴落し、2008年10月の1664まで
わずか1年で実に73%の下落を記録して
います。

その後、中国政府の4兆元(約60兆円)
にも及ぶ大規模な景気対策によって、中国
経済はリーマンショック後の世界経済を
牽引する成長を遂げたのですが、なぜか、
上海総合指数は、それほど大きな上昇を
示していませんでした。

それが、中国の経済成長率低下が顕著に
なりつつあった昨年秋から、この6月初
めまでに、2倍以上の高騰を記録して
いるのです。

この中国の株価高騰を支えているのは、
中国国内の膨大な数の個人投資家です。

この6月第1週には、個人投資家による
新たな口座開設数が443万件にも達した
とのことで、中国国民の間で、株式投資が
異常なほどのブームになっていることが
伺えます。

経済成長が鈍化している中で、少しでも
有利な投資先を求めて、今まで株式投資を
行っていなかった層の人々まで、値上がり
が続く株式投資に参加しなければ損だと
なだれ込んでいるわけです。

こうしたブームを受けて、過去12カ月間
の中国の株式市場の時価総額の増加額は
6兆7000億ドル(約830兆円)に達し、
この額は米国を除くあらゆる国の株式市場
の時価総額を上回っっているそうです。

中国鉄道グループ(日本でいえばJR各社
の持ち株会社のような存在)の株価は、
昨年5月からの1年間に15.5倍に値上が
りし、中国の国営石油会社ペトロチャイナ
の時価総額はエクソンモービルを抜き、世
界最大のエネルギー企業となっています。

Financial Timesの6月4日の記事によれ
ば、5月の上海・深セン両証券取引所の合計
出来高は、ニューヨーク証券取引所の出来
高の10倍を突破したとのことで、中国の
株式市場が世界最大の流動性を持つ市場に
なりつつあるようです。

こうした株式市場の活況が、実体経済の
好調さに支えられたものであれば問題は
ないのですが、現在の中国経済は、経済
成長率が急速に悪化しているのです。

中国政府によれば、今年1~3月期の成長
率はリーマンショックのあった2008年
以来の低水準となる7%とのことですが、
実際の減速はこの公式発表よりはるかに
大きいとするエコノミストが大半です。

実体経済の指標といわれる製造業生産高
は、年初来平均の前年同期比で5.6%増
まで下がり、粗鋼消費量は、前年同月比で
ゼロからマイナスで推移し、実質貨車輸送
量は前年同期比変化率で、マイナス十数%
まで下がっています

その一方で、中国の銀行の総資産額は、
米国のそれをはるかに上回り、10兆ドル
の大台を超えていますが、これは、国内
への融資総額の大きさを表しており、中国
国内の負債総額はGDPの2.5倍に達して
いるそうです。

特に不動産投資やインフラ投資に傾斜した
国有企業や地方政府、その配下にある投資
平台では、不動産価格の頭打ちや下落に伴
い資金繰りが悪化し、中国政府はその救済
のために、国内金融機関に対し、これらの
支援を要請しているそうです。

また、鉄鋼などの産業部門では、過剰投資
による価格の下落や操業率の低下が深刻で
私企業の倒産件数は過去最悪の水準に達し
ているようです。

株式市場における株価上昇は、窮地にある
国有企業や私企業の資金調達に有利に働く
ため、中国政府はバブルとも思われる株高
を規制することはなく、むしろ政策金利の
引き下げや融資規制の緩和等で、株高支援
をしています。

これは、国内の景気対策だけでなく、国有
企業や私企業、地方政府などの金融支援の
ためのやむを得ない政策ですが、バブル化
した株式市場には、火に油を注ぐことにも
なっているのです。

中国は、重工業とインフラへの投資に立脚
してきた従来の経済モデルを、国内の消費
とサービスを主体とする成長モデルに転換
しようとしているのですが、実体経済の
低迷と、資金余剰による株高騰という相反
する危険な状況を招いているのです。

そして実際の株価も、6月19日には中国
の各株式市場で大幅下落が発生し、1週間
の下げ幅は、チャイナネクストの14.99%
を筆頭に、2ケタの下落を記録する指数が
多く、中国市場のバブル崩壊の兆しが徐々
に現れているようです。

中国は今でも統制経済だから、バブルの
崩壊はあり得ないとする向きもあります
が、リーマンショック時の上海市場の崩壊
を見てもわかるように、世界中の歴史上、
これまで政府がバブル崩壊を止められた
事例はないというのが現実です。

しかも、肥大化した中国の金融マーケット
の世界経済における位置づけは、リーマン
ショック時とは比較にならないほど大き
く、中国の株式市場のバブル崩壊は、いま
では、ニューヨーク市場のそれに匹敵する
インパクトがあるかもしれないのです。

このように、日本経済を取り巻く最大の
懸念材料の一つが、中国株式市場のバブル
崩壊なのです。

最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。

田村誠邦

■編集後記

今週の22日は、二十四季節の一つで、
1年のうち昼間が最も長い、夏至の日
でした。

学術的には、太陽が地球上を通る線である
「黄道」と赤道とが一番離れて通過する
地点を「夏至点」といい、この夏至点を
通過する瞬間が「夏至」であり、通過する
日を「夏至の日」というのだそうです。

日本では、梅雨があるせいでしょうか、
夏至の日を祝う風習はあまりありません
が、緯度が高く太陽が貴重なヨーロッパ
諸国では、夏至の日に太陽に感謝する祭り
が多く開かれるそうです。

もしも、太陽光発電などの太陽エネルギー
が、エネルギーの主役なることがあると、
日本でも夏至の日を祝う習慣が定着するの
かもしれませんね。

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知って得する相続対策その1

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

台風16号崩れの温帯低気圧も通り過ぎ、
今日は朝から爽やかな秋晴れです。

ただ、東京株式市場の日経平均株価は、
ニューヨーク市場の急落を受けて、大幅安
で始まっているようです。

前回のメルマガでも書きましたが、株式や
債券等の金融市場は、爽やかな秋晴れとは
いかないようです。

さて、来年1月1日からの相続税増税の
関係からか、最近、相続税に関する関心が
急激に高まっています。

書店の店頭を見ても、相続関係の書籍が
数多く平積みにされていますし、私が講師
を務めている不動産関係のセミナーでも、
相続対策テーマにしたものは、最近いつも
満員の状況です。

これは、来年1月1日から、相続税の基礎
控除が、現行の6割にまで縮減され、その
結果、東京都内の戸建て住宅所有者の相続
では、2人に1人は、相続税の申告が必要
といわれるほど、相続税の課税対象者が
拡大されるからです。

ところで相続税と対策というと、借入金で、
賃貸アパートを建てることが定番でしたが、
最近は、もっと進んだ相続対策もたくさん
あります。

また、相続対策として広く流布されている
対策には、実は大きな落とし穴がたくさん
あります。

そこで、このメルマガでは、しばらく、
最新の相続対策に焦点を当てて、その実情
について、解説していきたいと思います。

今日はまず、読者の皆さんの相続に対する
基礎知識のレベルをセルフチェックできる
質問を掲げたいと思います。

では、早速行きましょう。

次の9つの質問のうち、相続対策として
必ずしも正しくないものはどれでしょう
か?

a.所有する全ての土地に借入金でアパート
や賃貸マンションを建てたから、相続税を
大幅に節税でき、相続対策は万全だ。

b.わが家は、自宅とちょっとした金融資産
だけだから、相続税の心配はないし、相続
対策は必要ない。

c.借金で貸家を建てることが、相続税節税
対策の基本だ。

d.相続が起きてしまってからでは、相続税
の節税はできない。

e.配偶者は税額軽減の特例があるから、
法定相続分までの相続なら、相続税の納税
の必要はない。

f.小規模宅地の評価減の特例を利用すると
基礎控除額を下回る場合は相続税の申告の
必要はない。

g.遺言を書いてあるので、相続税のもめ
ごとの心配はない。

h.マイホーム建設と相続対策とはあまり
関係がない。

i.分けにくい自宅敷地だったので、兄弟の
間で、共有で相続した。

いかがでしょうか?

どの相続対策が、必ずしも正しくないと
思われましたか?

また、その理由はどうしてでしょうか?

答えは、次回のメルマガで、
お楽しみに。

最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。

田村誠邦

■編集後記

錦織圭選手の全米オープンでの活躍の余韻
も冷めない中で、韓国仁川で開かれている
アジア大会での日本選手の活躍が目立って
います。

なかでも、競泳男子の20歳の萩野公介の
活躍は、すごいの一言ですね。

200m自由形、200個人メドレー、400m個人
メドレー、800mリレーと4種目で
金メダルを獲得し、それ以外でも、
400m自由形の銀、100mと200mの背泳
の銅と、出場した種目すべてでメダルを
獲得しています。

とくに圧巻だったのは、北京五輪400m
自由形金メダルの朴泰桓(韓国)と、
ロンドン五輪自由形2種目金メダルの孫楊
(中国)を破った200m自由形決勝。

150mの折り返しまでトップの孫楊とは
1秒近い差があったのを驚異的なスパート
で追い上げ、残り15メートルで2人を
かわし、最後はタッチの差を制したのは、
本当に見事な勝利でした。

世界を相手にした若い日本人選手の活躍を
見るのは、本当に楽しいですね。

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株式会社アークブレイン
代表取締役 田村誠邦(明治大学理工学部 特任教授)

〒106-0032 東京都港区六本木7-3-12
六本木インターナショナルビル8F
連絡先: 03-5770-7291(平日10時~17時)
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リノベーションスクールとリノベーションまちづくり

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

今日は、九州でこの原稿を書いています。

実は、一昨日、昨日と、北九州で開かれて
いたリノベーションスクールに行ってきた
のです。

いつも、3泊4日の途中で帰ってしまって
いたので、最終プレゼンと打上げパーティ
に参加したのは初めてのことで、その盛り
上がりに感動でした。

前日の中間講評では散漫で魅力の乏しい
提案だったユニットも、最終プレゼンでは、
すっかり見違えるほど説得力のある提案を
しており、ユニットマスターをはじめと
するメンバーの頑張りが伺えました。

このリノベーションスクールは、2011年
8月から半年に1度、北九州市で開催され
ているリノベーションを通じた都市再生
手法を学び体験する場で、今回で7回目を
迎えています。
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空き家戸数が820万戸に

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

今週に入ってから、夕方から夜にかけては、
少しは過ごしやすい日が続いていますが、
日中は、うだるような暑さです。

さて、昨日、総務省から「平成25年住宅・
土地統計調査」の速報集計結果が発表され
ました。

住宅・土地統計調査は、わが国の住戸の
実態や保有状況等を調査し、その現状と
推移を全国及び地域別に明らかにすること
により、住生活関連諸施策の基礎資料を
得ることを目的とした調査で、5年ごとに
行われています。

今回の平成25年調査は、平成20年調査
から5年ぶりの調査でしたが、総住宅数は
6063万戸と、前回に比べ306万戸(5.3%)
増加しています。
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老朽化マンションの一括売却が多数決で可能に:その1

こんにちは
アークブレインの田村誠邦です。

週末も梅雨空が続いていましたが、今日は
梅雨も中休みか、朝から晴れ間が見えます。

さて、先週の6月18日に、老朽化した
マンションの売却と解体をしやすくする
改正マンション建替え円滑化法が、参議院
本会議で可決成立しました。

これまで、マンションの建て替えは、区分
所有者の5分の4以上の賛成で実行できま
したが、1棟全体の売却については、区分
所有者全員の同意が必要でした。
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